信頼できるFX会社と巡り合うために:NDDと逆転スプレッドの実像に迫る(最終回)
逆転スプレッドは驚くに値しない!?
この逆転スプレッド、スプレッド縮小競争が行き着くところまで来て、遂にマイナスにまで及んでしまったのかと思いきや、そうではないと宮入氏は説明する。
「インターバンク市場の中の大手銀行やブローカーのスプレッドの統計を取ってみますと、逆転スプレッドが提示される時間帯があることが確認出来ました。インターバンク市場(特にメジャー通貨ペア)では、このような現象がしばしば発生するのです。薄利で透明性のあるレートを提供することができれば、NDD方式でも逆転スプレッドのようなユニークな条件を提供できるわけですね。つまり、裏をかえせばNDD方式なりのスプレッド訴求はこういう形なのかもしれません。」
逆転スプレッドは非常にインパクトがある言葉だが、宮入氏は、逆転スプレッドを強調するよりもむしろ、NDD方式の透明性・優位性を投資家に訴求したいと言う。
表1 <日産センチュリー証券のスプレッドキャンペーン期間中の一部統計数値>
USD/JPYスプレッド縮小期間中の統計:【データ集計期間:2014/03/31 AM9時~2014/05/13 AM3時】 | |||
---|---|---|---|
スプレッド (単位:pips) |
ボーナス逆転スプレッド (‐1.6pips ~ 0.0pips) |
ボーナススプレッド (0.1pips ~ 0.2pips) |
平均スプレッド (0.3pips ~ 0.8pips) |
提示率(%) | 0.74% | 1.90% | 95.31% |
Tickカウント数 | 1,902tick (※内、‐1.6pipsは14tick) |
4,880tick | 244,570tick (その他Spreadは5,243tick) |
※データ提供元:日産センチュリー証券株式会社
スプレッドには、「変動」型と「原則固定」型がある。FX取引の経験がある方であれば、気になった方も多いだろう。「変動」型は、常にスプレッドは変動する。それに対し、「原則固定」方式では、通常時のスプレッドは基本的には固定されているが、相場が急変したときなどは、スプレッドが大きく変動し広がることもある。
逆転スプレッドはインターバンク市場で生じる現象であり、原則固定スプレッドは、基本的にインターバンク市場には存在しない。言い換えると、多数のFX会社が投資家に提供している原則固定スプレッドは、FX会社などによって加工されたスプレッドということだ。いくらスプレッドが狭くても、注文と約定が大きくズレ(スリッページ)てしまうと意味がない。また、レート自体が大きくスキューしてしまうと、そもそもスプレッドが広いのと同様になる可能性もある。つまり、狭い原則固定スプレッドが投資条件の最優先条件とは言い切れないということである。
「長い付き合い」がFX業界を発展させる
市場が成熟し、かなり狭いスプレッドを原則固定で投資家に提供しているFX会社の広告をよく見かける。投資家へのサービスとして、一番眼目に見えやすく訴求しやすいのはスプレッドを狭くすることである。それは大変素晴らしいサービスだと思う。しかし、何もスプレッドだけに固執する投資家ばかりがいるわけではない。例えば、投資家を成長させるためのきちんとした投資家教育の啓蒙である。投資家はFX取引をやってはいるが、トレード対象の本質は為替である。その為替相場で儲けるには、本来は、相場観を磨かなくてはならないはずである。
このように、スプレッドだけに留まらず、投資家を大切にしようとする姿勢がより膨らめば、投資家はその取引会社と、そして相場と長く付き合うことができる。そんなFX会社が多くなれば、将来的に、20代からFXを始めて、老後もまだ現役でFXやっています!なんていう投資家が増加するだろう。
逆を言えば、顧客と長く付き合いたいと思うFX会社は、自分のところの儲けだけを考えているわけではないと言うことになる。「共存共栄」― FX業界には、今こそ、この言葉が必要な気がする。
(全編終了)
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この記事はWESTERN Inc.オリジナルの記事で、英語の原文はございません。
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