9月FX業界レビュー:リテールFX市場の規模を検証

 昨日の9月FX業界レビューでは、先月行われたM&Aの分析を行い、買収価格の見積を割り出した。今回も引き続き先月の動向についてレビューする。

BIS(国際決済銀行)によるFX市場調査

BIS 月後半に荒れ相場となる以前の9月の注目イベントは、BISが3年に1度実施しているFX市場調査報告書である。この調査は、世界中の主要ディーラーの2013年4月業績の算出結果をとりまとめたものだ。4月のFX日次平均取引高は5兆3,000億ドルであり、2010年に調査した時点の取引高、4兆ドルから大幅に伸びたことを示している(FX取引について、日次4兆ドル市場とウェブサイトに記載しているブローカーは、現時点で内容のアップデートを行うよう推奨する)。

 報告書が示す重要な市場トレンドの一つとして、2010年の時点で最もFX取引が盛んな地域、英国と米国がマーケットシェアを拡大、そして市場トップの地位を固持する結果となったことが挙げられる。英国および米国以外の国における取引オリジネーションが増加したにもかかわらず、前記のように英米両国のFX市場は堅調である。これを受け、成長過程にあるにもかかわらず、非英国・非米国の企業がリクイディティを追い求めて英国や米国のディーラーを選んでいる。このトレンドは変化してゆくものだが、とりわけアジアにおける変化が著しい。アジアでは、リクイディティプールのローカル化に対する需要が高まりを見せている。

 報告書のもう一つのハイライトは、リテールデータの開示である。今回初めて、FXの調査報告書に取引高の統計、およびリテール相手のカウンターパーティーを含む主要ディーラーの取引高を盛り込んだ。この取引高は主に、リテール注文フローをターゲットにアグリゲーターとなるリクイディティである。調査は、1,850億ドル(5兆3,000億ドルの3.5%)がリテールの注文フローだったことを指摘している。1,850億ドルのうち、FXスポット取引は780億ドルを計上し、FXスワップのそれをわずかに下回っている(740億ドル)。

FM LOGO BISの調査では「シングルカウント」の計算方式が用いられており、これをダブルカウントで計算し直した場合、リテール部門FXスポット取引の日次取引高は1,560億ドルとなる。ちなみに、フォレックス・マグネイト『四半期リテール市場調査報告書』の中で発表した弊社リサーチによる日次平均取引高の推定額は3,250億ドルだった。こうした金額の誤差は、弊社が算出した推定額はマーケットメーカーであるブローカーが内部保管しているものを対象としており、外部でヘッジされたものは対象となっていないことに起因している。以上のことを鑑みると、リテール取引高の50%以上に相当する取引がマーケットメーカーの内部をベースに実行されていることが分かる。BISが発表したスポット取引高780億ドルが、リクイディティ創出のために、リテールアグリゲーターを利用したリテールTier 3の地方銀行等からの注文フローも含んでいることを根拠に考えれば、非ヘッジ目的で取引される実際の取引高はおよそ60%~65%程度であると推察できる。Tier 3の地方銀行等による注文フローはリテール注文フローとして登録されているが、フォレックス・マグネイトの推定データからは除外されている。

その他の9月のヘッドライン

 アルパリ社が米リテールFX市場から撤退:アルパリ社のリテールFX市場撤退もまた、9月の注目ニュースとなった。現在のところ、アルパリ社は今後も米国内での法人ソリューションのプロバイダーとしての立場を継続するとしているが、アルパリ米国社のリテール顧客口座はFXCM社およびFXDD社へと引き継がれる(引き継ぎに関する条件の詳細は昨日の注目項目となっている)。米国の規制要件を満たすための経費がかさみ、加えて顧客数が減少の一途をたどっていることが懸念され、2012年以降アルパリ社の撤退は業界のうわさとなっていたため、このニュースはさほど驚かれるものではなかった。顧客減少は著しく、同社のリテール資産は2013年以降500万ドル超減少、7月末の時点で1,033万ドルとなった。

 CFTCによるSEF認定数は着実に増加:9月中、CFTC(米商品先物取引委員会)はSEF(スワップ執行ファシリティ)の申請受理および認可のため、多忙を極めた。本日から11月に適用開始日が延期されたドッド・フランク法の要件に準拠できるよう、企業が申請に駆け込んだため、SEF関連の業務が急増した。ドッド・フランク法は、プリトレード・クレジットのモニタリングと中央精算(CCP)構造の利用によって金融取引の安全性強化を図れるよう考案したSEF制度の下、OTCスワップ取引の規制化を実現するために導入される。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、ICAP社、トムソン・ロイター社などの主要取引所や大手のFXサービスプロバイダーが9月中にSEFの登録申請を行った。同月にSEF認定を受けたのは、Integral社、360T社、Tradeweb社、MarketAxess社、ICE社、TrueEX社、GFI社、Javelin社、BGC社、TeraExchange社である。7月に初めて認定されたブルームバーグ社に続き、以上の企業が新たなSEF認定企業として加わった。

 規制関連ダイジェスト:2012年にNFAが罰金の支払いを命じた「非対称スリッページ」に係る件について、FXDD社は規制当局であるNFAを相手に対抗訴訟を起こしていた。NFAが9月にFXDD社に対して当初より減額の290万ドルを罰金として支払うことを命じ、長期に渡って係争中の本件はようやく幕を閉じた。一方インドでは、クレジットカードを使って金融資産をFX取引に充てることが違法であるとして、RBI(インド準備銀行)が以上の行為に該当する顧客の口座を閉鎖するよう各銀行に通達したことに対して波紋が広がっている。こうしたRBIの方針は、国自体がHYIP(高収益投資プログラム)詐欺のターゲットにされていることを危惧したRBIが、継続的にアンチFXの立場で講じている対策の一環である。

この記事は英語版のオリジナル記事をWESTERN Inc.が日本向けに編集したものです。

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