9月FX業界レビュー:最近のM&Aの熱狂の裏側、現金よりも合併のディールなのか?

by Forex Magnates at 3 October, 2013 カテゴリ: 世界FX取引業者動向 | 海外業者 | 海外総合

 前月のFX業界を振り返ってみたい。ニュースという点ではどちらかといえば退屈だった夏の後、9月は様々な動きが見られ、BIS(国際決済銀行)では3年ごとのFX調査結果を発表し、M&A(合併・買収)もいくつか見られた。9月には様々なイベントがあったため、今月のFX業界レビューは2部に分けてお届けしたい。今回は最新のM&A動向に注目し、次回は9月中の他の動きをとりあげる。

Swissquote社はMIG銀行にいくら払ったのか?

 9月最大のディールはSwissquote社によるMIG銀行の買収である。上場会社であるにもかかわらず、Swissquote社(SQN.SW)は買収声明で財務面の詳細をほとんど明らかにせず、「MIG銀行の買収はすべて自己資本でまかないました。また、買収価格については非公開とすることが当事者間で合意されました」と発表したのみであった。

swissquote logo 今年上半期の業績について公表されたのは取引高と収益の数字だけであった。MIG銀行の月次取引高は平均約600億ドル、一方Swissquote社は290億ドルだった(フォレックス・マグネイトの2012年FX業界調査に一致するものだが、2012年の弊社の推定は上回る)。Swissquote社のFX業務による収益は上半期の総純収入のわずか26.2%にとどまっており、 MIG銀行の買収によってFX収入は両社合算の総収入の約50%まで増加すると予想している。Swissquote社の2013年上半期の報告書に基づくと、今年上半期のMIG銀行のFX収入は約2,300万ドル(手数料差引後)と推定される。この数字は、通年のトレーディング収入(2012年は約2,800万ドル、2011年は約7,300万ドル)に匹敵する。2012年の報告書では、MIG銀行は940万ドルの損失を計上している。トレーディング収入が急激に減少する一方で費用が増加したためである。

 2012年は業界のほとんどが収入の減少に見舞われたが、MIG銀行の不振は取引高の減少にとどまらなかった。財務報告書によると、MIG銀行は取引100万ドルあたりの収入が急激に減少しており、業界平均を大きく下回る約40ドルまで落ち込んだ。2013年の取引高と収入は増加していると見られるものの、前述した公表数値からは、MIG銀行のトレーディング収入については依然利ざやが薄いままであることが示唆される。著しい利ざやの拡大が見られず、また、2012年に新たな本店を開設し、海外支店を拡張したことから経費も増加しているため、MIG銀行は身売りをせざるを得なかったものと見られる。この点に関して、フォレックス・マグネイトは、買収の発表を受けて、MIG銀行の従業員は賃金の削減やダウンサイジングに直面しているとも聞いている。

 これらに基づき、フォレックス・マグネイトの調査チームでは、MIG銀行の2013年の純利益は2012年の損失から利益に転じているものの、極めて小幅の利益にとどまっていると見ている。このため、フォレックス・マグネイトではMIG銀行の買収はGFT社のゲインキャピタル社への売却と類似のケースだと考えている。このディールの締結時に、GFT社は現金および手形により約8,000万ドルと、ゲインキャピタル社の株式2,700万ドルを受け取っている(それ以降ゲインキャピタル社の株価は上昇している)。現金および手形部分については、GFT社の資本剰余金として約8,000万ドルが計上された。このため、ゲインキャピタル社はディールに関するプレゼンテーションにおいて、実際のところ、移転された現金はごくわずかであり、正味の買収価格は株式2,780万ドルでしかないと株主に対して説明している。多くの点で、GFT社の売却は、バリュエーションに基づく売却というよりは株主が同社の資本を現金化して払い出したに過ぎなかった。

 フォレックス・マグネイトでは、MIG銀行の買収も同様の仕組みで実施されたと考えている。株主はブローカーの余剰資本(約4,000~5,000万ドル)を払い出し、Swissquote社株のわずかなプレミアムを受け取ったのである。GFT社のディールでもブローカーのGFT社は2012年に損失を計上しており、これを例にとると、MIG銀行のディールにおいて株式部分は1,500~2,500万ドルと見るのが合理的だろう。

FXCM社、アルパリ社の米国顧客買収
FXCM_120x60 9月、最も大きな話題となった一つは、アルパリ社リテール事業の米国市場撤退である。アルパリ社の米国メタトレーダー4顧客を買収したのはFXCM社であった。このニュースの発表時、FXCM社は、金銭的条件を公表しない方針であった。フォレックス・マグネイトは、FXCM社はアルパリ社の米国顧客買収に対し金銭をほぼ支払わず、アルパリがブローカーパートナーとなり今後の顧客取引高に基づいて支払われるものと考えている。米国顧客の資産は約1,000万ドルであり、月間取引高は40億ドルと推定される。

FXCM社、Faros Trading社の株式の過半数を買収

 FXCM社が9月に発表したもう一つのディールに、Faros Trading社の50.1%の株式取得がある。トレーダー向けにリサーチや分析を提供するFaros Trading社との連携により、FXCM社顧客に新たなサービスが提供される事が期待される。FXCM社は、金銭的条件は明らかにしていないが、フォレックス・マグネイトは100万ドル以下のディールであったとみている。恐らく、本ディールは、FXCM社の顧客ベースにFaros Trading社の商品を広める為に、Farosのアクセスを許可する代わりに株式を取得する商品配布契約として作成されたものであった。Faros Trading社の共同設立者であるMark Galant氏は、ゲイン・キャピタル社の創設者であり、引き続き主要株主でもある。

OANDA社、Currensee社買収

 ソーシャルトレーディングはFX業界で注目される分野の一つである。ソーシャルトレーディング後発組にはCurrensee社があり、OANDA社に先月買収された。Currensee社のブローカー顧客はOANDA社の競合である為、これは一風変わったディールであった。しかし、このディールによりOANDA社に自動売買ソリューションを提供する事となる。社内でソリューションを構築するというコミットメントに基づき、OANDA社が最初に取り組んだソーシャルトレーディング『fxUnity』は1年もたたない内にサービスの提供を打ち切った。今回のCurrensee社買収により、OANDA社は素早く顧客に自動売買サービスを提供する事が可能となる。

この記事は英語版のオリジナル記事をWESTERN Inc.が日本向けに編集したものです。

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