日本と海外の『バイナリーオプション』の違い:日本のBOは『バイナリーオプション』と呼べるのか。

 この記事は、尾関高氏による日本のバイナリーオプションについての投稿である。この記事は読者の皆様に日本と海外のバイナリーオプション市場の違いについて伝える事を目的とし、日本のバイナリーオプション取引の様々な要素をレビューし、日本以外の国々での展開内容との違いを比較するものである。

日本のバイナリーオプションは、本当に“バイナリーオプション”と呼べるものであるか。

 現在日本でバイナリーオプションを提供しているのは6社ほどで、彼らが提供するバイナリーオプションはハイローバイナリーオプションと呼ばれる。バイナリーオプションに興味を示す日本のFXブローカーやプロバイダー達は、「バイナリーオプション界に参入し、優秀なシステムと共にバイナリーオプションを提供しなければ」と考えている。

 しかし、ここで特筆しておきたい事がある。海外でバイナリーオプションと呼んでいるものは、日本のバイナリーオプションとは全く異なる商品である。その詳細を見てみよう。

タイムフレーム:
 ヨーロッパやアメリカの大半のバイナリーオプションモデルは、満期時間に対して特定した時間の境目がない。投資家が取引出来るプライスがそのオプションの満期時刻と共に表示される。一方、日本はほどんどのハイローバイナリーオプションモデルは2つのタイムフレームが存在する。一つはハイローバイナリーオプションのチケットを購入出来る購入期間(例:10分)、もう一つは、購入期間の後に続き、チケット購入不可な観察期間(例:10分)である。これはレースがスタートするまで馬券を購入出来、ゲートが開くと購入出来なくなる競馬と似ている。

オープンバリュー:
 世界の多くの国々では、ポジションが建てられた後、2ウェイプライスが表示され、トレーダーはさらにポジションを建てたり、満期前にポジションを手仕舞いする事が可能である。日本のハイローバイナリーオプションではこれが不可能なのである。チケットを購入すると、結果が良くも悪くも満期を迎えるまで見守る事しか出来ない。

ニュートラルの事象:
 日本のハイローバイナリーオプションでは、スタート価格となる権利行使価格が存在する。このスタート値が満期時に権利行価格となるとすれば、ニュートラルの事象となる。ブローカーの中には全てのプレミアムを取るものや、全額返金するものもある。どの方法がより公平性を成しているのか。

頻度:
ハイローバイナリーオプションで最も短い期間は1分である。海外のオプションブローカーの一部もこの特徴を持つ同様の商品を提供している為、この点に関しては日本が特別なわけではない。

プライシング:
 1社を除き日本では、ハイローバイナリーオプションのプレミアムが、購入期間開始前に設定されており、トレーダーの帳簿に大きな影響を与える可能性がある。実際これはブローカーがリスクを負う『オッズ』である。マーケットがトレンドを変えずに一方向へ動き続けたら、ほとんどの投資家達は同一方向に賭け続けるだろう。すると、儲かるのはブローカーか、投資家か。ブローカーは、ヘッジ取引が出来るモデルを顧客に提供しない限り、マーケットをヘッジする事が出来ない。NADEXはこのようなモデルを提供していない。恐らく海外バイナリープラットフォームプロバイダー数社が提供しているサービスはこのモデルに沿っているかもしれない。ある日本のブローカーは、マーケットのモメンタムやスポットの動きを無視し、ハイ側とロー側でそれぞれ一律2倍のモデルを提供しており、そこには特別なプライシングモデルが存在するというが、プライシングモデルが公開されない限り私はこれに疑問を感じる。

 競馬では、購入締切後にオッズが決まる。オーナーは何も損する事はなく、手数料と税金を引いた後のプレミアムを再分配するだけである。しかしブローカーの場合、各サイドの購入者割合を知る前にオッズを決めるモデルである。ブローカーは常に制御不可能な支払いもしくは受け取りのネットプレミアムのリスクにさらされているのである。完璧とは言えないが唯一これをコントロールする方法が存在する。それは『チケット売り切れ(Tickets Sold Out)』である。次のセッションで負けると感じたら、チケット画面を閉じてしまうものだ。

リスク測定:
 通常、オプションモデルにはデルタ、ガンマ、ベガが存在する。私は一般的なバイナリーオプションモデルにはこれが存在すると確信している。しかし、ハイローバイナリーオプションにはこれがないのだ。

 日本のバイナリー提供ブローカー6社にはIGマーケッツ社とサクソバンクが含まれる。この2社のモデルはプロフェッショナルな考えに基づいており、ベッティングと誤解されないよう注意深く作られている。私は、それこそバイナリーオプションであると確信している。あなたがベッティングと金融市場(デリバティブ)商品との違いを理解していれば、日本のハイローバイナリーオプションに存在する問題点や本来のバイナリーオプションと日本がバイナリーオプションと呼んでいるものとの違いに気がつくだろう。

 私個人の見解からすると、ハイローバイナリーオプションと呼ばれるものは、欧州市場で言うベッティングに非常に近い。これは日本でハイローバイナリーオプションが人気を博す理由でもある。もし、あなたのバイナリーオプションモデルがサクソバンクやIGマーケッツ社と同様なものであった場合、注意が必要である。個人的にはハイローバイナリーオプションは、もはや『オプション』ではない。それならば何だろうか?ベッティングなのか?その答えはあえて避けておく事にする。

 現時点では金融先物取引業協会(FFAJ)は、バイナリーオプションを既に提供しているもしくは今後提供を検討しているブローカー15社から成るワーキンググループを有し、ハイローバイナリーオプションがギャンブルなのかどうか等を含めたトピックや、金融庁から認可を受ける為の取り組み等について議論を重ねている。2013年の3月頃に最終的な決定内容が公開されるだろう。

寄稿者について:
 尾関高氏は日本のFX取引のベテランで、1990年に通貨オプションブローカーのEXCO日本とシンガポールでキャリアをスタートし、その後ひまわり証券、トレイダーズ証券、FXCMで勤務。ForexPressでコラムを配信する他、FXやマージンFXについての書籍も執筆。

この記事の原文はこちら(Original article by Takashi Ozeki at forexmagnates.com)

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